こずえのオシャレ図鑑 ~2・プライベート編

当時のティーン誌のグラビアから。モデルの一人は久万理由香! よいね~。
ヤングファッションのメッカは渋谷・原宿ではなく新宿だった。伊勢丹、西武の他に鈴屋の名前も。

 

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色・デザインは現行モノでも通用するが素材感がチープでペラいのが本物70sファッションの真骨頂。
ここを押さえとくと更にマニアックな着こなしが楽しめるよ。
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最新ファッションはいつもデパートで。今でこそ若者の百貨店離れが言われて久しいが、この頃は年に数回限りのデパートショッピングは女の子の憧れであった。
現在でも、名古屋辺りでは御令嬢と呼ばれる真のお嬢様は、百貨店でしか洋服は購入しないと聞く。松坂屋丸栄あたりが本命か。




で、こずえの私服はこのような町の洋品店で購入するらしい。
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おしゃれ婦人服の店『メリノ』。ショーウィンドウには鮮やかなオレンジのワンピース、サイケな紫のジオメ柄ブラウス、ツーピース、マリメッコっぽいワンピースを着たマネキン、クロッシェ、ボウラー・ハット、ソンブレロなどの帽子が並んでいた。ソンブレロが目につくが、これはディスプレイだとしても67年以来のメキシカン・ルックはまだ根強いアイテムだった事がわかる。テンガロン・ハットなんてのも流行ってました。
こずえはここでブラウスを購入したが、それは一体どんな物だったのだろうか。

 

当時、近くにデパートやシャレた洋品店のある所はまだよかった。
昭和40年代の日本の地方なんて、まだ本当にド田舎と言ってもいい所がほとんどだったのである。
そんな地方に住むテカテカのセーラー服の下に毛玉だらけの自家製セーターを着込んだ田舎の少女にとって、少女マンガの主人公たちが毎回着用する夢のような衣装を見る事は、ストーリーと共に重要な楽しみだった。
原作版では一度たりと同じ私服を着る事はなく、常に最先端のオシャレファッションで読者に夢を与えたこずえ。髪型の変更も2度3度とわたり、アニメのポニーテールに親しんだ新しい読者たちを面食らわせた。
さすがにアニメではそこまで極端ではなかったが、それでもかなり頑張っていたと評価できる。
アニメのキャラなんて下手すると一年中家でも学校でも制服というのもよくある事、良くて制服+夏・冬の2パターンの私服があるくらいだったし。作画の都合、キャラのコスチュームであるという事に甘んじて、適当というかヒドすぎるのが普通であった。


そんなこずえたちのうれしい私服姿をいくつか紹介。

 

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赤と青の原色エクスタシー。
ワンピース2態。自宅でくつろぎすぎ?のこずえは青いバルーンスリーブのワンピ。襟ぐりのスクウェアなカットと鮮やかな白のトリムテープがモダンでよろしい。応接セットの白いソファーもリカちゃんハウス的で乙女のロマンチック心をくすぐる。
(下)燃える想いを胸に、恋しいシェレーニナのもとへと駆けるこずえ。真紅のワンピースは石油化学100%、着火即火だるまの元気印。ローウェストに締めたキッチュなビニールベルトと共に、70年代の危うい遊び心を演出します。






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静電気バッチバチ、ポリ素材のジャンパースカートは70sギャルファッションの必須アイテム
シビれる万博チックな配色センスがキモよ。他にジオメやオプ柄、ゴブラン織りとかグロテスクで意味不明な柄物もナイスね。
旧家の娘である泉も、パープルのジャンスカ+アースカラーのトリコットブラウスでヤングファッションをひっそり楽しむ。ミニゆえ冬はパンタロンと組み合わせてチュニック風に着こなすのも定番。夏・冬大活躍のポリニットのジャンパースカートであった。
黄色はひまわりの花の如きビタミン娘・こずえを象徴する色であるが、このVCイエローはリボンだけでなく私服ファッションにもしばしば見られた。
リボン、セーター、ソックスとVCカラーがゴキゲンにコーディネートされたこの雄姿を見よ。
またリボンや髪留めの色といえば中沢の緑、早川の水色、三条の紫、ボルチンスカヤの黒などそれぞれのキャラのこだわりが見えて面白い。


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『い』 いつもかわいいこずえちゃん(万創のかるたより)。
西武百貨店ジュニアコーナー的ギャルソンヌ風ブレザー。昔はよそ行きによくブレザーを着せられたものだが、男の子でも女の子でもでブレザーが好きな子供っていなかったと思う。というか、重くて野暮ったくてキライだったはずだが、金持ちの子供に見えるという理由からか巷の親達はやたら着せたがった。(実際は余計アホにしか見えない)
ちなみに金ボタンに紺のダブルが正式。これに白のプリーツスカート(ミニ)と白のハイソックス、白いベレーが70s的清楚なお嬢様風組み合わせである。





チリリン。どいてどいて! みどり女王様がお通りよ!
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見慣れてしまって今や全然何も感じなくなっているが、実は早川はいろいろ凄い。あらためて見るとヌーベルバーグの女優みたい。髪型とかマリー・クリスティーヌ・バローだし。ジャンヌ・モローだし。いやお世辞じゃなく。
そんな彼女だからこのシック&モダンなパンタロンスーツも60sコズミックなピエール・カルダンのワンピースもバッチリ決まるのだ。
後半、イケてる私服の登場シーンが少なくなってしまったのは残念無念。


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竜二&ヨッコの不良ルック。
ポケットに隠したナイフは伊達じゃない。大判プリント柄のストールと、ヒッピー娘風ぐるぐるお下げが不良少女を主張する藤洋子の新宿カジュアル。しかしここはサイレングスのプラットフォーム・ブーツで決めて欲しかった。
注目は金バックルの細いエナメル製ベルトである。
極太ベルトがトレンドだった当時にしては、このニュートラ風コーディネートはちょいと不自然だが、これ見よがしに身に付けているところから、恐らく敵のスケバンから奪い取った戦利品だと思われる。
竜二のハイネックのTシャツは、学ランの見せインナーとして不良学生の定番アイテム。自称『ユスリのプロ』はまた女心を手玉にとる危険な男でもあった。ボトルグリーンのカラージーンズが、スケコマシと呼ばれて恥じぬ軟派な遊び人の一面を伺わせる。


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ガリ勉真木村も女の子、おしゃれだってしたい。しかし固く編みこんだ古風な三つ編みが彼女の抑圧された現状を伺わせる。(あんまり固く結ぶとハゲるよ)
脇役としては異例にプライベート描写が濃かった真木村ゆえに私服の登場シーンも多いが、この青いジャンパースカートに袖までフリフリの白いブラウスはちょっと幼い感じがする。これもお母様のお仕着せだったんだろうか。


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ブイ。大沼ズ女子大生ルック。
劇中、唯一見られる大沼の私服。中沢も思わず嘆息をもらした黒のデカ襟ブラウスがクール。これは恐らくテロテロ素材のポリシャツだったと思われるが、黄金のスカーフ留めでキリリと締めた白のロングスカーフもバッチリ、このままゴーゴークラブに行ってもおかしくないほどキマッテいた。
しかし髪型は高校時代そのままだし、まだ恋もせず真面目な女子大生生活を送っていたものと見られる。
もう一回ブイ。


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垣之内のパジャマ姿。意外にファンシーとよ。
合宿中も部屋着は制服、寝るときはパジャマ。Tシャツにジャージなんてだらしない格好で寝床に入ったりはしないのだ。
ただ後にこの日焼け肌にファンシーパジャマが、『魔太郎がくる!!』 の「助野伴子」を彷彿とさせ、物凄くイヤ~な感じを覚えた記憶がある。  メラメラメラ~!


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清水先生のエレガントなブラウス。清水といえば暑い日も寒い日も一年中この格好で通したが、もちろん一枚しか持っていなかった訳ではないだろう。
実際は素材やディティールが微妙に違う同じタイプのブラウスを何十枚も持っていたと思われる。
真冬も遠赤外線放射ハイテク繊維プラチナウェーブでポッカポカ。それでも寒い時は同じブラウスを何枚も着込む禁断のレイヤード対処する。そして、本郷と2人きりになるチャンスの多い大会遠征時には透け度20%増しの絹のブラウスで気合十分、という具合に用途目的に応じて使い分けているのだろう。きっと。
このような人がまことのオシャレと言うのだ。
ただし努の葬式の時一度だけ喪服?のつもりか、茶色のジャケットみたいなのを着ていた。




その他、こずえにはピアノ発表会的ベルベットワンピースなども登場する。赤いベルベットにロマンチックな白いレースがお人形みたいで、目玉の星もひときわ輝く。少女マンガの主人公たるこずえの面目躍如といった所だ。
原作では富士見中バレー部諸君のスペシャルセレブレーション・ルックも拝める。柏木、小沢、香取らのおめかしスタイルにも注目。お姉さんかお母さんに借りてきたらしいバロックなペンダントが泣かせる。
こずえママのマダム・ランバン奥様ファッションや、帽子男のヒッピースタイルも気になるが、それはまた機会をあらためてという事で。

 

そんなオシャレだったこずえも、物語終盤に入ってくると段々余裕がなくなってくる。
次第に制服着用の頻度が高くなり、家に帰っても寝るまで制服のままというパターンが多くなってしまう。湯島とのデートの時ですら制服というのは考えられない事だ。
これはバレーにのめりこむほどに殺伐とした雰囲気に飲み込まれていくようで、寂しくもあり残念でもあった。