アゴと鼻~名もなき2年生たち

イメージ 1

バレー部の2年生は陰が薄い。
レギュラーと呼べるのはゼッケン4番の武市香代子だけで、その武市でさえ後半は猪股(デコ)にしばしばその座を脅かされる。
5番の石川一美に至っては、石松の入部で完全にレギュラーを追われてしまった。
武市と共にクーデター騒ぎの時は大暴れしたのだがバレーの腕はいまひとつだったようだ。
もっとも、実力のある者は神田たち3人組が追い出してしまった後だから必然的に残った彼女たちが凡庸だったのは仕方ない話ではある。
石川が脚光を浴びたのはこの乱闘と第78話「すばらしい勝利」の時ぐらいだろう。
この時石川は東南コンピューターバレーを狂わせる『ハプニング作戦』発動によりこずえの代役としてコートに立つ事を命ぜられるのだが、「私が鮎原さんのかわりに!?」と、ビビリまくってしまう。
石川自身、実力ではこずえに100万年たっても及ばない事は死ぬほど分かりきってる事だが、後輩の早川に「石川さん、落ち着いてね」と言われる心境はどうだったんだろうか。





武市や石川はまだいい。

 

富士見高バレー部には名前もセリフもない2年生たちがひっそりと存在している。
中にアゴと鼻に特徴がある二人がいた。
仮に彼女達を鼻先輩とアゴ先輩と呼ぼう。
鼻は9番、アゴは10番を付けている事が多いが、時々変わったりするのではっきりしない。この二人、顔はともかくなぜか体は無駄にナイスバディである。
特にアゴ先輩なぞ、全然見たくも無い大胆なセミヌードを披露してくれた。
この時発した「キャー」という声が、彼女の発した唯一のセリフであった。

 

 

 

アゴ先輩、鼻先輩はまだいい。
 

 

 

バレー部にはさらに存在が希薄な、幽霊のような2年生もいるのだ。

彼女たちは顔も姿も不定形である。
ある者は茶髪であった。また別の者はヘアバンドをしていた。
そしてその存在すらしばしば省略されてしまう。
だが確実にひっそりと存在しているのだ。
時々ゼッケン「8」とかを着けて試合に出場、見事なレシーブを披露したりもする。

 

ひっそりといえば、追放されたはずの大沼親衛隊一味の神田がいつのまにか復帰していたという驚愕の事実がある。
練習中や試合中、あの特徴的な明日のジョーというか山岸くんヘアーの女が幻のようにチラチラと画面の端を横切る事があるのだ。
その存在が決定的となったのは筋電図の検査(?)の回想シーン。この時にはこずえの傍に立ち、あろうことか器具を引っ張る石松に声援まで送っていた。

 

神田。石松の入部は本郷のコーチ就任後なので、一連の騒動の後また再入部したという事になる。
イメージ 3

イメージ 4
これも神田。
美沢とのリターンマッチに出場し、ゼッケン「7」を付けている(第46話)。 大沼がバレー部に復帰した日には、体育館で一人黙々と柔軟体操を続ける彼女の姿も見られる。

 

ところでバレー部の先輩、後輩のけじめはどうなっているのか。
一応、2年生は「さん」付けで呼ばれるものの、会話はほとんどタメ語だ。
たしか入部当初はこずえ達も武市らを「先輩」と呼んでいたはずである。
封建的な旧大沼体制を倒して民主化した結果なんだろうが、体育会系でこういう馴れ合いはよろしくないのではないか。

 

その点、原作版ではアナクロ暴力コーチの岩島五郎が登場してビシッと引き締めてくれる。
キャッチフレーズは『闘魂和』。
この岩島、角刈りでマッチョ、ムチムチの短パン姿で筋肉を誇示するという、文科系の女子が最も嫌がるタイプ。
そして、愛情以前に本人の思い込みだけで強引に選手たちを己のペースに巻き込んでしまうナイスな男でもある。
その指導はスパルタを超えた軍国式。体罰や人権無視の暴言はあたりまえ。相撲部屋でさえ体罰が問題になる現代では許されまい。マスコミ沙汰となって糾弾される事必至である。
競技スポーツはゲームではない。大人の真剣勝負なのだ。愛だの人格だの、ましてや個人の尊厳だのとは言っていられないマシーンとして洗脳されるのも必要だという事を、岩島は教えてくれた。 
で、無理矢理こずえ達の信頼を得た岩島だったが読者の共感は得られず(当たり前だ・・・)インターハイの途中だったにも関わらず 「家庭の事情」で田舎へ帰ってしまった。無責任といえばあまりにも無責任な降板である。しかもその後清水まで連れ去って結婚・・・て事は特訓中も清水とはやることはやってたっちゅう事ですか?
・・・ギャーもうマジで最低!不潔すぎる!!
こずえ達は泣きながら岩島の汽車を見送っていたけど、心ある全ての読者は万歳していたと思われる。
アニメに登場しなくて本当によかった・・・

 

しかしアニメでは再登場した本郷にこの役が振られたようである。
仲間同士で殴り合えと命じ、手加減したこずえと大沼を張り飛ばすひどいシーンは原作にある岩島の行為だ。この手の暴力は本郷のキャラではない。練習後メシをおごって歓心を買う(岩島はラーメン、本郷はカレー)古典的アメとムチのあざとい手口も岩島式。
さらに、後々清水と結ばれるであろう仲のよさ(こずえたちは気付かないふりをしているが)も岩島のキャラを踏襲していた。
 

 

ちなみにこれが富士見高バレー部のゼッケンナンバーである。

 

1・・・大沼。引退後はこずえ。
2・・・こずえ。こずえがキャプテンになってからは欠番。
3・・・早川
4・・・武市
5・・・石川
6・・・中沢
7・・・石松
8・・・猪股
9・・・鼻
10・・アゴ
11・・真木村

 

その他ゼッケンの無い部員3~8名。神田、ヘアバンドの女、茶髪のセミロングの女、「消えるアタック」試行中にこずえのダブルアタックをうっかりレシーブしてしまった新入部員(すごくねえか?)他。適時、8・9・10番をつけている模様。
また第68話でゼッケン「19」を着けたメガネの部員がチラリと写るが、これは原作版に登場した小幡(スズメ)だったのか?

 

イメージ 2
1年生達の陰にかくれ、どこまでも奥ゆかしいアゴ先輩。
しかしこの後、アタック№1唯一のヌードシーンに登場する事になるとは・・・・何かが彼女の中で弾けたのであろうか? アゴ先輩、決意の脱ぎは 第68話「新トリオ誕生」を見よ!



武市香代子・・・菅谷政子
石川一美・・・松尾佳子