麗しのB級ヒロイン~注目!菅谷キャラvs浅井キャラ

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菅谷政子浅井淑子
「アタックNo.1」を愛して止まぬ、まことの『アタック者(もの)』ならば、その声だけでピンとくるはずだ。


今と比べると昔のアニメは同じ作品でレギュラー、準レギュラー級の役者が何度も別の役で登場するローテーションが高頻度で行われていた。
子供は結構『同じ声の人』がすぐ分かるので、工夫をこらして演じ分けねばならなかった当時の声優さん達はさぞ大変だったと思う。
さて、「アタック」でその高ローテーション率を誇ったと言えば
菅谷政子浅井淑子
の両氏だろう。
「アタック」の脇役を語る上で、この二人の声と存在は絶対に欠かせない。
今回はそんな御二方が演じられた「菅谷キャラ」と「浅井キャラ」についてこだわってみる。
ちなみに両氏は1965年の「宇宙少年ソラン」で主役のソラン(浅井ゆかり名義)とチャッピー(菅谷)で共演もしている。

 

 



まず菅谷政子編。

 

前半ではお調子者でムードメーカーの香取を、後半はグッとまじめなお姉さんキャラの武市を見事に演じ分けていた。
役名がついているのは香取・大月・崔(初代)・武市ぐらいだが、それ以外にこれでもかというくらい端役や代役で登場してくる。

 

菅谷政子といえば先の「宇宙少年ソラン」から2009年現在も現役という超ベテラン。
そのキャリアは主役・準主役も数多くこなし、特に『エースをねらえ!』全シリーズにおける、愛川マキ役の生き生きとした演技は現在も評価が高い。
あとメジャーな所だと『忍者ハットリ君』のケン一氏(うじ)も代表的だろう。

 

一度聞いたら忘れられない特徴的な声はちょっとアナクロな男の子を演じれば抜群で、ベタな人形劇にピッタリ。80年代後半から90年代にかけて小学生だった方々には、『おでこの眼鏡でデコデコデコリ~ン!』の「それいけノンタック」も外せないだろう。
この「ノンタック」では「すがやまさこ」名でOPまで歌っていた。

 

♪ぼくのとなりはだあれ となりのとなりはだ~れ
(ハイ、ハイハイ、ハハ~イ、ハイ!)

 

この後続く「♪~きょうも」の部分で瞬間的におとな声に裏返るが、ここで
「あ!武市が歌ってる」
と思ったら、もう筋金入りの『アタックNo.1馬鹿』だ・・・



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香取良子 
香取は昔のマンガでは定番の「おもしろい顔」のキャラ。
外見通り、富士見中チームでは底抜けに明るいお調子者の役割を果たすが、ゲームセンターあらしのようなひどい出っ歯はちょっとかわいそうであった。
富士見中チームの一員として合流後も個性的な存在感を示し続けたが、やはり香取が一番光っていたのは四天王時代だろう。調子に乗りすぎて早川にひっぱたかれたりもしたが、4人バレーで見せつけた圧倒的な実力は四天王の名に恥じぬものであった。
高校ではバスケ部に入部してそれっきりだったが、もし原作のようにバレー部へUターンしていたら、中沢、石松、デコ達と相当賑やかになったに違いない。
おもしろキャラの香取だったが、合宿の自由時間にシクシクと縫い物をする可愛らしい一面もあった。


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大月ひとみ 
愛媛県松山出身。ジュニアチームでは7番とレギュラーに次ぐ実力があったが、野田や宮津同様ほとんど存在感のないメンバーだった。
しかし原作の大月はなかなか個性的で楽しい性格をしており、新井より目立っていた。
大月の時々思い出したように見せるコミカルな仕草は、この原作の性格を反映したものだったと思われる。

 

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第62~64話の親善試合でも登場するが、やはりジュニア選手権の崔が本命だろう。
二段レシーブ開発に力を貸すため、単身日本チームのホテルを訪ねた彼女の義侠心と 『おなじアジアのきょうだい』の言葉には感動させられる・・・ 現実の日韓関係でもこうあってほしいものだ。
妹の順玉とは全然にてない。


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武市香代子 
別に「薄幸」というわけではないのに、なぜか心からハッピーと言えない暗さ。
地元で行われたインターハイ勝戦での彼女のセリフ「うちは誰も応援にきてないから・・・」に、つい不幸の影を探そうとしてしまう、この武市の暗さは一体どこからくるのだろう。
それは彼女がレギュラーメンバーの中で一番平凡で、最も等身大のキャラだった所にあるのではないか。
等身大のキャラゆえに引きずる生活の臭い。おめでたいお祭りキャラばかりの中にあって、生活感のリアリティというのは暗くダサイものとして際立ってしまうのだろう。

 

そういえば武市は顔が犬に似ている。
犬は悲しい。それは犬が猫よりずっと愚直で人間臭く、リアリズムがあるからだろう。
時おり見せる、あの犬特有の表情。生活の滓にまみれたやるせなさで
「生きるっていうのは、辛いもんだねえ・・・」
そう言っているように感じてしまう無様で情けない人間臭さが、犬にはある。
犬顔の武市に、それと同じものを感じてしまうのはちと穿ちすぎだろうか。

 

一転して原作の武市は憎々しい悪役だった。
大沼軍団ナンバー2の武市はアニメでの神田の役どころで、体も大きくかなり威圧的な印象である。逆に神田は下っぱ丸出しのトボケた顔をしていた。
目こそ吊り上っていないが、武市のあの特徴的なとがった鼻はイジワル担当キャラだった原作の名残である。



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菅谷政子といえば、第8話「秘球・木の葉落とし」の中で富士見女子大のバレー部合宿に参加したこずえが部員たちと腕相撲に興じるシーンも注目である。
こずえの相手をしていたのは名も無い一部員。
「負けそうよ~」
という声は例によって彼女だったが、ヤイヤイと囃す外野の声援の中に
『しっかり、マコ!』
と聞き取れるものがあった。
この時のオフの音声はアドリブだった思われるが、『マコ』というのはたぶん菅谷氏の素の仇名だったんではないだろうか?(本名も政子で同じ)
こんな所からも製作当時の空気感、アットホームだったであろう現場の雰囲気が想像できて楽しいものだ。





 

浅井淑子菅谷政子よりもっと地味~に、幅広く出演している。
長谷、小林さん、松本先生、丸日紡バレー部キャプテン、中原、後藤、島本、etc・・・
あまり特徴の無い声なのでスルーしがちだが、何度も見ていればその魅力がジワジワと伝わってくるはずだ。
特にジュニアバレー編の松本先生は印象深い良キャラだった。
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松本
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宮崎合宿で男性教諭の河北と共に合宿中の授業を担当した教官である。
やや頭でっかちの河北が猪野熊のスパルタ指導に憤激する中、
「スポーツは理屈ではありませんわ」
とにこやかに反論してみせたのが印象的だった。
彼女はかつてバスケの選手だった頃「反吐が出る」ほどの過酷な体験をしたらしいが、そんな過去を微塵も感じさせない落ち着いた知性的な雰囲気があった。 その沈着ぶりは地獄を見た人間だけが持つ悟りきった達観が感じられ、子供じみて熱くなっているガリ勉タイプの若い河北と好対照を見せていた。
ただ彼女は早川や三島らの発言にあるように、『話せる』教師でありフレンドリーに慕われていたようだが、その寛容さを若干勘違いされていた節もあったようだ。(河北がテストを行うと言った際、全員が松本は自分達の立場に立って反対してくれると思っていた)
しかしこずえだけは松本の秘められた本質を理解し、彼女にもバレーのコーチと同等の敬意を抱くようになる。




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長谷
長谷は隠れ美人キャラだった「こずえのおばさん」そっくりで、しかも初代・峰不二子(後期のショートボブ頭)に似てる時すらあった。つまり彼女はなかなか色気のある美人である。
旧バレー部では桂城に次ぐナンバー2。不良グループとの抗争中は桂城の右腕として挑発や敵対行為を繰り広げ、池崎とつかみ合いになった事もあった。
こずえ・不良グループ・早川を加えた新バレー部では、レギュラーだった原や岡まで脱落した本郷のしごきにもよく耐え、松島中学との試合では出ずっぱりで活躍した。
ちなみにオープニングに登場する一連の場面はこの時期だったと思われ、『♪涙も 汗も 若いファイトで』の所では、生き残ったメンバーらと共に長谷が先頭を突っ走っている。
第7話で桂城、原と三人そろって卒業。満開の桜の下で最後の晴れ姿を見せた。



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小林
富士見中学卓球部員。体育館の使用に関してバレー部に激しく抗議する。
 http://blogs.yahoo.co.jp/junmam78/22969680.html 


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島本富子(黄のワンピース)
カワモト電機所属で、木山とともに全日本に選ばれた。
合宿では木山の手下となってこずえをイビリ出す手助けをするが、内心はその余りのひどさに少なからず心を痛めていたようである。
かといって木山に意見する事もできず、結局ズルズルとそれを続けてしまった島本。そんな所にいかにも小市民的な弱さやずるさが感じられ哀れを誘った。




 

『このままでは大沼キャプテンがあぶない。 何とかしなければ・・・ 何とか!』

 

中原は大沼親衛隊三人組の一人。石灰事件の犯人である。
強烈だった神田、須賀と比べると見た目も地味でキャラのインパクトはかなり落ちる。
バレーの実力も3番手だったようで、美沢との練習試合ではずっとベンチで一人だった。
そして能力が足りない分、大沼への忠誠心や認めてもらいたいという欲求は強く、ついには石灰事件という犯罪を犯してしまう。
しかしライン引きの石灰で目を潰すなんてよく思いついたもんだ。
昔は消石灰を使っていたから、マジで失明の危険もある悪質極まりない行為だった。

 

四六時中陰険な目つきで悪事を企んでいるような中原だったが、大沼を囲んで談笑している時だけは幸せそうに顔をほころばせていた。彼女がどれほど大沼に憧れ、慕っていた事か。
しかし結局はその大沼に
「つまんない事してくれたわね!」
と土壇場で見捨てられてしまう。

 

『もうバレー部なんて、辞める・・・』

 

顔を覆って泣き崩れた中原は、清水に石灰事件の証拠で脅された以上に、大沼に見捨てられた事がショックだったに違いない。
その点ではちょっぴり同情に値する部分もあった。








次は「麻生みつ子」vs「北川智恵子」 の巻・・・・